☆
そんな訳で、途中で現場放棄してしまった○マヤさんの事をすぐに本社の上司に報告しました。
そしてまた現場監督に平謝りです。
作業が終了し、私が本社へ戻りますと何やら所長が電話でモメています。
(私は本社所属、○マヤはイーハトーヴ営業所所属です)
「れのさん、イーハトーヴ営業所の所長から電話」
と、本社の所長に云われ、電話に出てみると……
イーハトーヴ営業所の所長はイキナリ
「水に流せないか?」などとのたまいまして。
「はあ?」
部下も部下なら上司も上司です。
水に流す流さないの問題じゃないだろうに。大体、私は別に○マヤさんの事を怒って居るわけではなくて、実際にあった事を報告したまでです。
そんなに○マヤさんが本社の仕事が厭なら代わり人のを寄越してくれればいいだけの話です。
「実は○マヤは、もうイーハトーヴ管轄では行ける現場が無いんだ……」
つまり近場の現場は全て出禁(出入り禁止)喰らったと云うことなんでしょうが、実際にそれはイーハトーヴ営業所の他の警備員と組んだ時に聞いていたので、今さら驚きはしません。
だからと云って私が配属されてる現場にそんな
出禁大魔王をあてがわれても困ります。
第一、使ってくれている業者さんに大変失礼です。
しかし、いつまで経ってもイーハトーヴ営業所のじじい……もとい、所長の話が終わらないので、
「わかりました
私はこの件を無かった事にしますので、○マヤさんには明日からはしっかり勤務するようお伝えください」と、むりくり話を終わらせました。
しかし、いくら私が
無かった事にしても現場に迷惑を掛けた事は事実です。
きっと、明日は○マヤさんが監督に平謝りするのだ。と、思ってたんですが……
③
次の日、もう少しで現場事務所に付くと云うあたりで、警備員が歩いているのを見ました。
『へえ、ここ、なんか工事するんだな?なんの工事だろう?警備員一人しか居ないみたいだからそんなに大きな規制は掛けないんだろうな』などと思ってその警備員の顔を通り過ぎざまに見てみたら……
○マヤさんでしたもうすぐ現場事務所に付くあたりではありますが、それは車に乗ってる私の感覚で、現場事務所からは1㎞近くあります。
なんで、現場からも事務所からも遠いこんな場所を、○マヤさんはフル装備で歩いているんだろう?
そう思いながらも素通りし、そのまま現場事務所に向かいました。
現場事務所に着いてすぐ、私の来た方向から現場監督の車が来て、監督はまるで幽霊でも見たかのような顔をしています。
そうです。監督も、あり得ない所にいた○マヤさんを見てしまったのです。
しかも、○マヤさんの車はちゃんと現場事務所の駐車場にありました。ここからあの場所まで歩いていったのです。
監督も私もその事は口に出さず、朝礼が始まり、暫くして○マヤさんが戻って来ました。
○マヤさん曰く
「現場事務所に着いて、そう言えば昨日のコンビニで待ち合わせしなきゃいけなかったのかも……と思って歩いてたら、れのさんの車が通り過ぎてったので戻って来た」……ちょっとまて。
なんで現場事務所の場所解ってるのに、わざわざ今日も待ち合わせしなきゃいけない?
いや、仮にそうだとしても、
だったら車で行けばいいじゃん。なんで、わざわざ歩いて行くんだ?(最初にも書きましたが、このコンビニは現場事務所から2~3㎞の距離にあります)
さて、作業が始まり、その日は途中で帰る事は無かったんですが、
④
「その4トン過積載!」無線からけたたましい○マヤさんの声が聞こえてきまして。
「はあ?」
つまり、現場の4トンダンプに土を積みすぎてる……と。
しかしそんなこと私に云われてもどうしようもありません。
その時丁度パトカーが来まして、いえ、この地域を巡回しているパトカーなんですが。
「パトカー来たじゃない!大変だわ!」……と、一人でパニクっていまして、そのパニクくりぶりは無線無しでも分かるほどでした。
てか、○マヤさんのすぐ側に監督も作業員さんも居たんで、その模様は全部目撃されてしまいました。
で、パトカーはダンプなんて目もくれず、乗っているお巡りさん達は爽やかな笑顔で私に会釈し、何事もなく通り過ぎました。
……作業終了時、監督に日報のサインを貰いに行った私はまたもや「なんか……意味もなくお騒がせしてすみません」と、平謝りでした。
「そんな、れのさんが謝らなくてもいいよ。それより、○マヤさん色んな意味で恐くてたまらないから他の人に代えて貰えるように云って貰っていい?」
いや、それはもう
喜んで!この監督の“御願い”を本社の所長に伝えると所長は鬼の首を取ったようにイーハトーヴ営業所のじじい……もとい、所長に電話しました。
「あ、もしもし?本社ですけど、あのねー、○マヤさん、監督からクレーム来ちゃったからもうダメだわ。頑張ってそっち管轄で行けるところ探してねー。んじゃよろしくー♪」
―――――――――――――
これで、数年前の件は終わりなんですが、○マヤさんは初日の件を監督に謝らず仕舞いでした。
いくら私が“無かった事”にすると云ったとはいえ、大人としてこれはどうなんだろう?
と、ずっと気になってたんです。
それから暫く経って、ネットで調べものをしていたら、“アスペルガー症候群”について書かれた記事を見つけ、何気なく読んでいたら、
これ、○マヤさんのことやんけ。と、しか思えないくらい症状やら特徴やらがぴったり一致したんです。
まあ、つまり、○マヤさんは、私や本社の仕事を気に入らないと思って居たわけじゃなく、アスペルガーの症状であんな奇行をやってのけたと。
しかし、ここまで酷いと、病気のせいだと解っていても何のフォローも出来ません。
そもそも、最初にも書きましたが
業務に支障を来すような精神病の人は警備員になれない筈です。
警備会社の幹部に、もう少しばかり精神病の知識を身につけて頂きたい。と思うわけです。
いや、会社の評判が落ちるとか、
事故が起きる、ってのも勿論ありますが、
一番辛いのは誤解されている本人なんだからさ。
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